STORY

濡れても滑らない機能を活かし、
「ナノフロント®」の新市場開拓へ。

2026-02-01

断面積が髪の毛の7500分の1という超極細繊維「ナノフロント®」。細さが生み出す「滑らない」という特徴を持ち、さまざまな分野で注目されてきたこの素材が、いま新たな用途・顧客との出会いを求めて世界に挑戦しています。

Project Member

鶴田らら

吉田果純

濡れても滑らない超極細繊維
「ナノフロント®」に秘められた可能性。

「ナノフロント®」が誕生したのは今から15年以上前。断面積が髪の毛の7500分の1という超極細繊維で長い糸をつくることに成功した世界初の事例でした。現在、この素材を巡って、どんなチャレンジが繰り広げられているのでしょうか。

鶴田

私は入社5年目ですが、今年から更に深く「ナノフロント®」の営業に関わるようになりました。「ナノフロント®」は当部署の戦略素材ということもあり、2025年の春からは技術担当の社員もメンバーに加わって、開発から営業までのプロセスを加速しようとしているんです。現在「ナノフロント®」の用途として主軸となっているのがスポーツグローブ。そのほかにはソックスやシューズのインソール、靴紐などが挙げられます。

吉田

「ナノフロント®」には水に濡れるとグリップ力が高まるという面白い機能があって、さらに肌ざわりもよく、そこがポリウレタンやシリコンといったグリップ性素材との比較で優位になるところです。ですからグローブひとつとっても、汗や雨で濡れるシーンを想定して、ゴルフやモトクロス、モーターバイク、釣り、アイスクライミングなどさまざまなシーンで使われています。

鶴田

「ナノフロント®」のユニークな点は、バイオミメティクス(生物模倣学)を活用しているところです。繊毛が密集した足裏構造をもつニホンヤモリが、摩擦力を使って壁面を登っていけるのと同じ原理で、「ナノフロント®」を編んだり織ったりして布や紐にすると、表面に生じるナノサイズの凸凹が摩擦力を発生させるんです。弊社としては糸と生地のどちらも販売しており、今はこの「ナノフロント®」の新用途・新市場を開拓することがミッションとなっています。

吉田

私はまだ入社2年目なので、先輩や上司がお客様に説明している姿を観察しながら、営業力を盗もうと頑張っているところです。入社1年目の2月、まだ国内の展示会すら立った経験もない中で、初めて行かせてもらったのがトルコの展示会でした。そこでも「ナノフロント®」への反応は非常によく、私としても勉強になることがたくさんありました。

天然皮革に代わる選択肢となるべく
ゴルフ大国アメリカへ。

「ナノフロント®」の主戦場はやはりスポーツグローブ、中でも重要な位置を占めるのがゴルフ用です。国内市場ではすでに高い認知度を得ている「ナノフロント®」ですが、次なる課題である海外市場獲得に向けて、目下ゴルフ大国アメリカへのアプローチが進んでいます。

鶴田

世界最大のゴルフ大国といえばアメリカで、「ナノフロント®」もアメリカのゴルフ業界に食い込みたいという目標を持っています。そんな中、ちょうど私が2025年の1~3月の3ヶ月間、海外研修に派遣してもらえたので、そのチャンスを利用して現地のゴルフ業界にかなりアプローチをかけました。フロリダで開催される世界最大級のゴルフ業界展示会「PGAショー」に参加して、業界の方々に「ナノフロント®」を体験していただいたほか、弊社とつながりのあるお客様を回ったり、ゴルフ用品売場やゴルフ場にもリサーチに行ってみたりと、かなり色濃い日々でした。

吉田

本年度もPGAショーには出展を予定しています。「ナノフロント®」は体感してもらわないと良さが伝わり切らないこともあり、来場者の皆様にお配りできるノベルティとして、実際に試着いただける手袋を現在作成中です。昨年よりもより良いものにすべく、鶴田さんやチームメンバーと意見を出し合ってデザインや仕様を決めました。

鶴田

濡れるとさらにグリップ力が向上するという性能を体感していただくために、まず乾いたグローブをはめて物を触った後で、霧吹きで水をかけてグローブを濡らし、変化を確かめていただく、というようなデモンストレーションも行います。実際に体感すると、どなたも驚かれて「すごくいいね!」という反応が返ってくるんですが、アメリカのゴルフ市場ではまだまだ「天然皮革が一番」という認識が根強く、これがけっこうなハードルになっています。とはいえ、10年前と比べれば天然皮革至上主義はやや薄れているという話も聞きます。「何かいいテクノロジーがあればそれも試してみたい」という前向きな姿勢も感じているので、諦めずにアプローチを続けていくつもりです。

自社製品への愛着の深さが、
チームの心をひとつにする。

戦略素材の販路拡大を担う若手が中心になり、アイデアを持ち寄り進めてきた、「ナノフロント®」の世界進出作戦。その背景には、「メーカー×商社」という特性を活かして、積極的なチャレンジを後押しする帝人フロンティアの企業風土も大きく働いています。

鶴田

アメリカで3ヶ月過ごして感じたのは、ビジネスシーンでも人と人がカジュアルかつスピーディにつながるチャンスに満ちていることです。展示会で「ナノフロント®」をご紹介すると、まず「ワオ!すごいね!面白い!」から始まって、「これってどういう仕組み?」「どうしてそうなるの?」というふうにポンポンと会話が弾み、「それならこういう用途にもよくない?」というアイデアのキャッチボールも自然に生まれるんです。そこから実際に商売が始まったケースもありますし、出会った方からのご紹介で新たに人との繋がりが生まれることも多くあります。

吉田

それってやはり、人と人とがリアルで対面して、実際に商材も触ってこそ生まれる温度感ですよね。実際に私も、展示会でお会いした方が「ナノフロント®」を面白がって、私たちが考えていなかったような用途を提案してくださったという経験があります。やはり「直接会えることの価値」は大きいなと思います。

鶴田

それから、衣料用テキスタイル部隊や製品部隊など、専門性の違うチームと一緒に動ける場面が増えたことも可能性を広げてくれています。衣料用テキスタイルと、「ナノフロント®」のような少し尖った高機能素材が一緒に並んでいるブースは、ほかではあまり見られないので、お客様から見ても意外なヒントを見つけやすく、面白いのではないかと思うんです。部署横断で「いろいろやってみよう!」という機運が高まる中、上司も「やりたいことはなんでもトライしてみなさい」と背中を押してくれるので、ありがたいですね。

吉田

入社するまでは、私にとって帝人フロンティアはどちらかというと商社のイメージが強かったんですが、入ってみるとメーカー的な色合いも同じぐらい強いことがわかりました。製品開発の苦労などをよく知っているからこそ、みんな自社製品に対する愛着がとても強く、商材を熱く、深く語れるんですね。今一緒に動いているチームのみんなも、「ナノフロント®」をもっと大きく育てていくために、いろんな立場から活発に知恵を出し合っていて、日に日に一体感が高まっているのを感じます。私もチームの一員として、まだ誰も気づいていない「ナノフロント®」の新用途・新市場を見つけて、ブランドが花開く原動力になれたらと思います。

国内で培った信頼を糧に、海外市場に羽ばたこうとしている「ナノフロント®」。その名が、海外スポーツシーンや意外な生活シーンで話題となる日も、そう遠くはないかもしれません。

Other Story